
近年、通話し放題サービスを提供する格安SIM事業者の数は続々と増えています。
格安SIMでも通話し放題プランの存在が一般的になりつつありますが、通話し放題といってもその内容は各事業者によってさまざまです。
下記の表のように1回の通話で5分、10分など、時間制限を設けているものや、3大キャリアと同じように通話時間・回数共に制限のない「完全無制限」にできるものもあります。
Y!mobile | 1回10分以内 | プラス1,100円オプションで時間無制限にできる |
UQモバイル | 1回5分以内 | ネット通信速度が全格安SIM中1位 |
楽天モバイル | 1回10分以内 | 通信制限後の速度が1Mbpsで、制限中も問題なくネットが使える |
今回の記事では、通話し放題サービスを提供している格安SIM事業者を徹底比較し、料金やデータ通信量なども加味した、オススメのMVNOを紹介します。
※MVNOとは、ドコモ・au・ソフトバンクなどの通信インフラを持つキャリア回線を借り、独自の通信サービスを提供する事業者のことで、Y!mobile、UQモバイル、楽天モバイル、LINEモバイルなどが該当します。
※2022年8月時点の情報です
この記事でわかること
格安SIMの通話し放題プランは大きく分けて2種類
格安SIM事業者が提供している通話し放題プランには、「1回の通話時間に制限がある」タイプと、通話時間に制限のない「完全かけ放題」タイプの2種類があります。
1回の通話時間に制限があるタイプ
1回の通話の無料時間が3分・5分・10分と制限されているタイプでは、これらの時間を超えても通話自体が終了することはありませんが、超過分は通常料金での従量課金制です。
MVNOの通話料は3大キャリアと比べても高額に設定されているため、1回の通話時間が長い方は月額費用が高くなってしまいます。
完全なかけ放題タイプ
1回の通話時間や、通話回数に制限のない完全かけ放題を提供しているキャリアもあります。
取扱キャリアの数はそれほど多くなく、Y!mobile・イオンモバイルなどごく一部での提供に留まり、Y!mobileでは月額1,100円、イオンモバイルでは1,650円など、別途オプション料金がかかります。
通話し放題プランには注意点もある
格安SIMでの通話し放題プランは、通話品質の劣化や専用アプリ使用が必須であったり、通話料が無料にならない通話先があったりとデメリットもあります。
これらはLINEなどメッセージアプリでの通話と同様の状況ですが、普段の通話がLINEなどで間に合っている場合は、そもそも通話し放題プランは必要ないでしょう。
通話品質が通常の電話と比べて下がる
通話品質は回線方式によって通常の電話に比べて劣るものがあります。
主な回線方式には3つの種類があり、それぞれ以下のような特徴を持っています。
・通常電話回線
音質の劣化・遅延に強く、クオリティが高い。
・プレフィックス方式
通常回線から途中、専用のルートを迂回し通信する方式。
通話料が安く済むものの、専用アプリからの発信が必要になる。
・IP電話方式
インターネット回線を使って通話をする方式。
電話回線を使用しないためデータSIMやWi-Fiなどネット環境があれば利用ができるが、通話音声の劣化・遅延が発生しやすい。
格安SIM事業者の多くはプレフィックスの方式を採用しています。
無料通話は専用アプリを使う必要がある場合も
格安事業者のほとんどはプレフィックス方式、またはIP電話を採用しているため、専用アプリから発信をしなくてはなりません。
専用アプリは各事業者から独自にリリースされたものであるため、それぞれ使い勝手が違い、発信までの手順が煩雑になる場合もあります。
また、誤って専用アプリを使わずに発信してしまった場合はかけ放題対象とならず、正規の通話料金が請求されてしまいます。
Y!mobileとUQモバイルでは通常の電話回線を利用しているため、専用アプリ経由の必要がなく、通常発信で無料通話が適用されます。
かけ放題サービス対象外の通話がある
かけ放題サービスを利用していても無料通話が適用されない発信先があることにも注意が必要です。
国際電話やナビダイヤルなどは大手キャリアでも対象外となるほか、格安SIMではさらに一部フリーダイヤルや119番、110番なども対象外です。
さらに、IP電話ではそもそも119番や110番に発信することができず、緊急時の対応に関わるので、事前に把握しておきましょう。
ネットの通信速度が遅い場合がある
格安SIMキャリアは通話回線だけではなく、インターネット回線も大手各キャリアから借りているため、回線規模が大手キャリアに比べ小規模になり、ネット回線速度が控えめになる傾向があります。
そのため、かけ放題サービスの内容だけで契約キャリアを決めてしまうと、ネット検索やグーグルマップの利用など、普段のネット使用に支障が出ることも考えられます。
また、IP電話は回線状態が直接通話品質に影響することになるため、注意が必要です。
MVNO3社の通話し放題プランを比較!
ここでは、人気MVNO事業者かつ、通話し放題サービスが標準で利用可能な「Y!mobile」「UQモバイル」「楽天モバイル」の3つを以下の表で比較しました。
Y!mobile | プランS/M/L | 1,628円/2,508円/4,378円 | 1回10分以内 | あり(月額1,100円) | 通常電話回線(VoLTE) | 3GB/9GB/21GB(2年間) |
UQモバイル | プランS/M/L | 1,628円/2,728円/4,928円 | 1回5分以内(おしゃべりプラン) | なし | 通常電話回線 | 3GB/9GB/21GB |
楽天モバイル | プランS/M/L/LL | 1,628円/2,728円/4,928円/6,028円 | 1回10分以内 | なし | プレフィックス | 2GB/6GB/14GB/24GB |
※月額料金は、各種割引を適用させたときの最低料金で比較しています
長電話が多い人は「Y!mobile」がオススメ!
Y!mobileの特徴は、プラス1,000円で時間制限なしの完全かけ放題になるオプション「スーパーだれとでも定額」が用意されており、通常発信でかけ放題が適用されるところです。
スーパーだれとでも定額は、契約者が60歳以上の場合は無料で適用できるサービスです。
また、通話方式は通常回線の中でもさらに高音質なVoLTE方式を採用しています。
ちなみに、新規契約や3大キャリア(au、docomo、SoftBank)からの乗り換えならY!mobile取扱店「ヤングモバイル」がオススメです。
ヤングモバイルは、オンラインショップなのでホームページからの電話で申し込みができ、来店が不要です。
また、乗り換えお申込で最大10,000円が2週間後にキャッシュバックされるという特典もありますよ。
ネットの通信品質も重視する人は「UQモバイル」がオススメ!
UQmobileも「おしゃべりプラン」で契約をすることによって、標準でかけ放題サービスを利用可能で、通常電話回線を利用しているため、通話音質などクオリティも申し分なく、専用アプリの経由も不要です。
なお、MMD研究所による「2019年3月格安SIM・格安スマホ通信速度調査」によれば、インターネット下り速度の中央値がもっとも高かったのはUQモバイルで、31.8Mbpsでした。
ネットの通信速度も重視する人にとってはこれ以上ない選択肢です。
また、余った通信量は翌月に繰り越しができるため、パケット通信を無駄なく使うことができます。
速度制限時の最大速度は300kbpsのため、動画視聴などは厳しいものの、メッセージの送受信、ネット検索程度であれば問題なく使用できます。
ネットも無制限感覚で使いたい人は「楽天モバイル」
楽天モバイルでは通話方式にプレフィックス方式を採用しており、音声品質としては一般的な部類で、無料通話時間も1回10分と比較的長めであるため、長時間の通話をしない方にとっては十分でしょう。
楽天会員の場合、上記表の月額料金からさらに500円が毎月割引されます。
また、楽天モバイルであれば速度制限時も1Mbpsでの通信が可能なので、インターネットサーフィンはもちろん、中画質程度の動画であれば滞りなく再生可能で、実質無制限プランのような使い方ができます。
通話し放題プランをオプションでつけられる格安SIMもある
先述のY!mobile・UQモバイル・楽天モバイルは、契約プランの中に標準で通話し放題機能が含まれていますが、そのほかの格安SIM事業者でも、有料オプションで通話し放題機能を追加できます。
イオンモバイル | 935円 | 1回10分以内 | あり(月額1,650円) | プレフィックス(完全無制限プラン:IP電話) | 500MB〜50GB |
QTモバイル | 935円 | 1回10分以内 | あり(月額2,750円) | プレフィックス | 1GB〜30GB |
U-mobile | 550円 | 1回3分以内50回まで | なし | プレフィックス | 1GB〜25GB/無制限 |
DTI SIM | 902円 | 1回10分以内 | なし | プレフィックス | 1GB〜10GB/無制限 |
NifMo | 913円 | 1回10分以内 | なし | プレフィックス | 3GB〜13GB |
IIJmio | 660円 | 1回3分以内(家族10分以内) | なし | プレフィックス | 3GB〜12GB |
913円 | 1回10分以内(家族30分以内) | プレフィックス | |||
DMMモバイル | 935円 | 1回10分以内 | なし | プレフィックス | 1GB〜20GB |
NUROモバイル | 880円 | 1回10分以内 | なし | プレフィックス | 2GB〜13GB |
mineo | 935円 | 1回10分以内 | なし | プレフィックス | 500MB〜30GB |
BIGLOBEモバイル | 660円 | 1回3分以内 | なし | プレフィックス | 3GB〜30GB |
913円 | 1回10分以内 | ||||
LINEモバイル | 968円 | 1回10分以内 | なし | プレフィックス | 1GB〜10GB |
スマモバ | 437円 | 1回1分以内1日50回まで | なし | 通常電話回線 | 1GB〜5GB/1日上限3GB |
935円 | 1回10分以内 | ||||
b-mobile | 550円 | 1回5分以内 | なし | プレフィックス | 1GB〜15GB |
格安SIMの通話し放題プランを申し込む流れ
実際に格安SIMの通話し放題プランを申し込む流れを解説します。
まずは「MNP(番号ポータビリティ)」と「SIMロック解除」
1.NMP予約番号の取得電話(番号をそのまま乗り換えをする場合)
各キャリアのショップや電話窓口、マイページから取得できます。
電話番号:0800-100-5533
ソフトバンク端末:*5533でダイヤル
(受付時間:9:00~20:00)
インターネット:My SoftBank
(受付時間:9:00~20:00)
2.端末のSIMロック解除(SIMフリー端末以外)
ドコモで購入した端末とドコモ回線の格安SIM、auで購入した端末とau回線の格安SIM、というような組み合わせであれば、そのままSIMカードを差し替えるだけで利用できますが、それ以外の場合では、端末のSIMロックを解除する必要があります。
SIMロックを解除するには、各キャリアの定める条件を満たしている必要があります。
<ドコモ>
- 2015年5月以降に発売された端末である(一部例外あり)
- 購入から100日以上経過している、または端末代金を支払い終えている
<au>
- 2015年5月23日以降に発売された端末である(一部例外あり)
- 端末の購入者本人である
- ネットワーク制限中ではない(auと契約中の場合)
- 購入から100日以上経過している、または端末代金を支払い終えている
<ソフトバンク>
- 2015年5月以降に発売された端末である(一部例外あり)
- 購入から101日以上経過している、または端末代金を支払い終えている
SIMロックの解除は、回線契約継続中であれば各キャリアのマイページや、電話窓口から依頼できますが、すでに解約済みの場合は、各キャリアのショップに直接依頼する必要があります。
電話番号:0120-800-000
ドコモ端末:151
(受付時間:9:00~20:00)
インターネット:My docomo
(受付時間:24時間)
ドコモショップ:詳細は各ショップにお問い合わせください
※手数料3,300円
電話:0077-75407
(受付時間:9:00~20:00)
インターネット:My au
(受付時間:9:00~20:00)
auショップ:詳細は各ショップにお問い合わせください
※手数料3,300円
電話番号:0800-100-5533
ソフトバンク端末:*5533でダイヤル
(受付時間:9:00~20:00)
インターネット:My SoftBank
(受付時間:9:00~20:00)
ソフトバンクショップ:詳細は各ショップにお問い合わせください
※手数料3,300円
各格安SIM窓口での申し込み手順
格安SIMの申し込み方法は、インターネットからとショップからの2通りがあります。
実店舗からの申し込みであれば、MNP予約番号と身分証明書、利用端末を持って店舗スタッフにお問い合わせください。
ここではインターネットからの申し込み手順について解説していきます。
1.サイトから申し込み
各キャリア公式ページの「申し込み」項目から進み、氏名・住所・NMP番号などを入力し、身分証の提出はスマホカメラで撮影したデータをアップロードする方法が一般的です。
また、キャリアによっては家電量販店などであらかじめSIMカードを購入し、サイト上でライセンス登録をするものもあります。
その場合、サイト上での操作は上記と変わりませんが、以下2番の流れが省略されます。
2.SIMカードが送付される
キャリアから郵便でSIMカードが発送されます。
申し込みから発送までは3、4日程度が目安です。
3.SIMカードをセット・初期設定
SIMカードの準備ができたら端末に挿入し、同封のセットアップガイドに従い初期設定を行います。
インターネット環境が必要となるので、Wi-Fiが利用できる環境で操作をする必要があります。
まとめ
格安SIMでもキャリア、契約状況によっては通話し放題機能を使うことができます。
有料オプションとして追加するもの、無料通話時間が3分・5分・10分と制限されているものなど、内容は事業者によってさまざまです。
中でも「Y!mobile」「UQモバイル」「楽天モバイル」は標準プランに通話し放題機能が含まれている上、それぞれに大きな特徴があります。
Y!mobile | 1回10分以内 | プラス1,100円オプションで時間無制限にできる |
UQモバイル | 1回5分以内 | ネット通信速度が全格安SIM中1位 |
楽天モバイル | 1回10分以内 | 通信制限後の速度が1Mbpsで、制限中も問題なくネットが使える |
また、格安SIMを利用するには、対応するスマホ端末の用意が必要です。
新規購入のほか、現在利用中の端末のSIMロックを解除することで引き続き利用できます。