いままで僕らは数多くのデバイスを活用してきた。しかしテクノロジーの進化によって、ファーストディスプレイかつメインデバイスがスマートフォンとなった人が増えた。
もちろんテキスト入力が多い人はノートパソコンを使うし、動画コンテンツを好んでいる人はタブレットを所持しているだろう。
しかしいつでも手の届くところにあり、常に情報を収集したり、他の人とコミュニケーションをするデバイスを1つだけ選べという問いには、スマートフォンをチョイスするはずだ。
モバイルバッテリーの持ち歩きは必須
スマートフォンは他にもデジカメやカーナビを置き換える存在となっている。デジタルデバイスの歴史のなかでも、最も多様性に富んだ使い方ができる存在になり得たといっていい。
そんなマルチに使えるスマートフォンだからこそ、常にバッテリーの問題がつきまとう。使用頻度が高くなればなるほど、バッテリーの消費スピードが早く使えなくなるまでの時間が短くなってくる。故にスマートフォンのヘビーユーザーは常にモバイルバッテリーも持ち歩いて、スマートフォンのバッテリー切れに備えている。
大容量のモバイルバッテリー「Power Plus 4」
cheero「Power Plus 4」
もしこれからモバイルバッテリーを購入しようという人がいるならば、cheeroの「Power Plus 4」を選んではいかがだろうか。
cheeroは大阪のティ・アール・エイが持つブランドで、モバイルバッテリーのパイオ二アといえる存在。古くから高品質なモバイルバッテリーを作り続けている。
また漫画「よつばと!」の中に出てくるキャラクター、ダンボーをモチーフにしたバッテリーを開発するなど、デザイン面でも独特なモデルを作っている。そして数多くのラインナップのなかでハイエンドモデルとなるのが「Power Plus 4」(Amazon販売価格3,380円)だ。
「Power Plus 4」のスペック
詳細スペックを見ていこう。モバイルバッテリーを選ぶ際に、もっとも重要となるのが蓄電容量と重量だ。
蓄電容量はmAh(ミリアンペア・アワー)という値で表すもので、数値が大きいほど多くの電力を蓄えられる。だからといって持ち運ぶ品ゆえに、重すぎる商品は避けたい。「Power Plus 4」は13,400mAhの蓄電量を持ち、重量は約250gに抑えられている。
なおサイズは92x80x23mm。丸みがついた楕円柱形状のケースは手に馴染みやすく、スマートフォンと重ねて持っても握りやすい。
スマホと重ねて持っても手に収まる
出力端子はUSB Type-CとUSB Type-A。USB Type-C側はPower Delivery 3.0(以下PD3.0)に対応しており、最大出力は18W。USB Type-A側は5V出力時に2.4Aとなる。
キーとなるのはUSB Type-C側のPD3.0だ。
USB Type-Cには様々な規格があるが、スタンダードな仕様の場合は5Wまでの出力となる。しかし「Power Delivery 3.0」は最大18W。3.6倍もの電力を流せる。すなわちPD3.0に対応しているスマートフォンなどを充電する場合、従来より3.6倍の速度で高速充電することが可能だ。
高速充電に対応している機種は次のとおり。
また以下のモデルもメーカー独自の仕様ではあるが、高速充電に対応している。
近年に発売された大手スマートフォンメーカーのミドルレンジ以降のモデルなら、その恩恵を受けられると考えてよい。
「Power Plus 4」の実力
「Power Plus 4」を使って充電したときの実測値を見てみよう。テストに使用したのはアップルのiPhone X(2017年発売)。公表はされていないが、本体のバッテリー蓄電容量は2,716mAhとされている。
しかし購入してから1年以上使っているため、バッテリーは少なからず劣化している。iOSのバッテリーライフ確認機能を使ってチェックしたときの最大容量は89%。実質、2,417mAhのバッテリー蓄電容量を持つスマートフォンだと考えてほしい。
バッテリーが切れるまで使ってから、「Power Plus 4」とiPhone Xを、アップル純正USB-C – Lightningケーブル(1m)で接続。定期的にiPhone Xのバッテリー充電率を計測していった。
公式情報では45分でiPhone Xを74%充電できるポテンシャルを持つ「Power Plus 4」。その宣伝文句に間違いはないようだ。20分で充電率25%は明らかに速い。33分で充電率50%というスコアも見事といえる。この充電速度であれば、移動中にスマートフォンのバッテリーが切れたとしても問題ないだろう。
コンビニのモバイルバッテリーと比較
比較対象として、某コンビニで購入したモバイルバッテリー(接続端子はUSB Type-A。購入価格2,480円)でもテストを行った。蓄電容量は4,000mAh。使用したのは同じiPhone Xで本体付属(アップル純正)のUSB-Lightningケーブルを用いた。では、結果を見てみよう。
「Power Plus 4」と比較すると、充電速度は遅い。それも著しく、だ。20分充電時の充電率は11%だし、50%まで充電するには1時間以上を必要とした。さらに充電率79%までのスコアしか掲載していないのは、その時点でモバイルバッテリー側の電力供給が停止してしまったせいだ。
「Power Plus 4」とコンビニのモバイルバッテリーの大きな違い
公称4,000mAhのモバイルバッテリーなのに、実質2,417mAhのバッテリー能力を持つスマートフォンを充電しきれなかったのには理由がある。通常のモバイルバッテリーは3.7V前後のリチウムイオンバッテリーを用いているが、スマートフォン充電時は5Vに昇圧する必要がある。さらにスマートフォン内部では5Vの電力を降圧している。この昇圧・降圧の際に熱が発生し、エネルギーをロスしてしまう。
モバイルバッテリーによっては3~4割の電力を損失するが、今回のテストで使用したコンビニ販売のモバイルバッテリーは1909mAh分しか充電できなかったわけで、なんと5割以上も損失していることになる。充電時はさわれないほどではないがかなりの熱を持っていた。
対して「Power Plus 4」はそこまで熱くなることがなく、iPhone Xを3回満充電、さらにもう1度87%まで充電が可能。7割ほどの電力が使えた計算となる。この差は内部回路の違いによる。高精度なパーツ、効率のいい回路を用いていればロスは少なくなる。残念ながら某コンビニで購入したモバイルバッテリーは、「Power Plus 4」ほど最適化された回路が使われていなかったのだろう。
なお充電時に使用するケーブルによってもロスが生じる。抵抗が大きく充電速度が遅く、充電回数も下がってしまうケーブルを使うのは無駄そのもの。たとえ安くても使いたくないものだ。
他のモバイルバッテリーよりは高いかもしれない。しかし「Power Plus 4」はその差を補ってなおハイコスパといえる性能を持っている。USB-C – USB-Cケーブルも付属しているのもポイントだ。
武者良太
フリーライター/ガジェットキュレーター。 1989年よりライターとして活動。出版社に勤務、編集職を経験後あらためてフリーライター/カメラマンとして活動を再開。注視しているフィールドはIT、IoT、AV機器、モビリティ。1971年生まれ。元Kotaku Japan編集長。
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