
私がなぜ10年間も「Twitterラブ」なのか。それは、ログ魔であり、アウトプットフェチである私の気持ちを余りあるほどに満たしてくれるサービスだから。さらに、Twitterを通して出会った人は数知れず。つまりTwitterは、私に出会いを運んでくれる、魔法の大海なのだ。
なぜか発売日に並んでしまったiPhone
iPhoneが日本で初めて発売になる日。私はなぜか衝動的にソフトバンクショップに並んでしまった。初めて手にしたiPhoneは、動きは遅いし、カメラは日本製ガラケーよりもずっと性能が悪かったが、それでもそのヌルヌルとした画面の動きは、私の心をつかむのには十分だった。
とにかく楽しかったのはアプリ。しょうもないアプリもたくさんダウンロードした。スーパーマリオのマリオがジャンプする音が鳴るだけのアプリ、スターウォーズのライトセーバーが疑似体験できるアプリなどに胸を躍らせたものだ。
小学校のころからことあるごとに日記をつけていた私は、行動のログを付けられるアプリを探していた。できれば位置情報も付与できるとベター。そんなときに見つけたのが「Twinkle」だった。ちなみに、今あるアプリとは別モノ。
Twinkleで人とのつながりに目覚める
昔あったアプリ「Twinkle」は、利用するためにTwitterのアカウントが必要だった
Twinkleは、Twitterと連動する別のサービス。ビューアーではなく、独自のサーバーを持っているようだった。実際、Twitterをメインで使うようになった後も、Twitterが落ちた時に(当時のTwitterはよく落ちた)、Twinkleへ戻ってフォロワーさんと会話をしていたこともあった。
Twinkleは、投稿に位置情報が付与されるのが特徴だ。しかも、「○○市」くらいのざっくりしたエリアで。かつ、エリアごとにフィルターができるのだった。だから、フォロワーでなくても「今近くでつぶやいた人」がわかる。吉祥寺に住んでいた私は、同じ時間帯に吉祥寺でつぶやいた人をフォローして、見ず知らずの人と会話を楽しんでいた。いつも吉祥寺で会う人なのに、たまに新宿で捕獲したりすると、思わぬ場所で友達と出会ったような嬉しさがあった。
ときどき群馬の片田舎の実家に帰ってTwinkleをすると(当時は電波も絶え絶えだったが)、同じ町にいるTwinkleユーザーがたった一人だけ見つかり、フォローしたこともあった。懐かしい。あまりに懐かしい。
ただいつからか、Twitterの方がメインとなり、Twinkleは一部のユーザーに惜しまれつつ、サービスを終了してしまった。
ライターとして幅を広げたいと思っていた頃
ログ魔の私にぴったりの、Titterを保存してくれるサービス「Twilog」
当時は名前も顔も出しておらず、匿名で楽しんでいた。ところが、私はライター。名が知れた方がありがたい。巷ではTwitterを使ってフォロワーを増やし、有名になる人も増えてきていた。
私は少しずつ、名前や顔を出すようにしてみた。本名をまずはローマ字で書き、そのあと漢字を入れ、アイコンを顔写真に変え、自分の責任を感じながら発信するようになった。
それからは、ライターに関するツイートが増えた。ライター歴は5年を超え、それなりにノウハウがたまっている。ライター志望の人や編集者など、少しずつフォロワーは増えたものの、「役立つこと」ばかりツイートしていると、「Twitterラブ」が少しずつ減っていくのを感じた。
私の違う面も知ってほしい。私の感じていることも表現したい。
そう思い、フォロワー獲得のために役立つノウハウを発信するのはやめた。Twitterはすでに、私の居場所になっていた。
「今日の140文字」ファンだと言ってくれる人たち
Twitterに投稿した「今日の140文字」をnoteやFacebookにも投稿する
Twitter以外でもいろいろと発信をしながら、知り合った方に「140文字ぴったりで投稿する」という試みを勧められた。「フリ」「メイン」「オチ」などを考えながら、ちょっといいことを投稿する。「今までいろんな人にお勧めしているが、続いている人はひとりだけ」と言われたので、やってみることにした。
たくさんのツイートの中に、平日1日1回だけ、140文字ちょうどのツイートを入れる。それは普段考えることや発見が好きな私にとても向いていた。何も飾らず、職業も関係なく、自分の想いを表現するのにはとてもよいフォーマット。Facebookにも同じ文面を投稿し始めると、「いいね」がいくつか付くようになってきた。
「なんで急にそれっぽいこと言っちゃってるの、こいつ?」と思われないよう、企画のひとつだとわかってもらうために「今日の140文字」というハッシュタグをつけてみた。すると、仕事などで知り合いに会ったときに「あの140文字のやつ、いいですね」と言ってくれる人がときどき出てくるようになった。これはいける。
「続けていける」と確信した私は、ツイートをTogetterというサービスにまとめるようになった。その後、noteというサービスで専用マガジンを作り、そこにも同じ内容を投稿することにした。
仕事でインタビューした人が「栃尾さんの140文字の言葉の海が好き」と、noteでフォローしてくれたり、知らない人がFacebookの友人経由で知ってコメントしてくれたりと、少しずつ、注目してくれる人が出てきた。見ず知らずの人が、流れていくばかりのたくさんの言葉の海の中で、私を見つけてくれたのだ。
もはや「住処」と化したTwitter!
私はTwitterだけでなく、ブログやPodcastなど、さまざまな場所で発信をしているものの、Twitterはすべてのものを集約する拠点となっている。私にとってもはや「住処」と言っていい。
ブログを紹介したツイートが拡散されて、たくさんの人がフォローしてくれたり、見ず知らずの人が話しかけてくれたりする。そう、Twitterは私を「見つけてもらう」ためのツール。少し前までは、何かに突出していなければ(例えば何かのジャンルにオタク的に詳しいなど)、知らない人にまで自分の声が届くことはなかった。でも、大海に釣り糸を垂らし続けるように、Twitterで発信をし続ければ、見つけてもらえることがある。その人のフォロワーが多ければ、また誰かにたくさん届く。そうやって、いろいろな人の力を借りて、釣り糸を伸ばしたり拡げたりもできる。
だから私は、そんなTwitterが大好き。

栃尾江美(とちおえみ)
ライター&ポッドキャスター。小5でプログラミング言語BASICをかじり、大学でプログラミングを学んだ後、ITコンサルタントに。同時に幼少より文学少女でもあったため、読書と日記が大好きな自分を見つめ直し、30歳で崖から飛び降りるようにライターに転身。しばらくはデジタル系のライターとして活動した後、最近はインタビュー記事や、企業の創業ストーリーなどストーリーテリングを中心とするようになる。また、子どもの頃からラジオ好きで、現在5つほどのPodcast番組にレギュラー出演している。
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