閉じる

カテゴリから記事を探す
SNSでフォローする

アイドル?タレント?クリエイター?様々な舞台で活躍するバーチャルYouTuberの多様性

VTuber

あなたは「バーチャルYouTuber」を知っていますか?
──なんて、今となっては野暮な質問かもしれません。

2017年末頃から爆発的に話題になり、インターネット上ではすっかり定着したようにも思えるこの言葉。少なくとも日頃からSNSやネットニュースを追っている人であれば、まったく聞いたことがないという人はまずいないのではないでしょうか。

2018年9月の段階でVTuberの数は5,000人を突破し、今なお増えていると言われています(※1)</small style>。この流行はまだ局所的なものに過ぎない見方もありますが、既存のYouTuberとは少し方向性の異なる存在として、多方面から注目を浴びていることは間違いありません。

なんと言っても、VTuberは見た目からして多種多様。生身の人間が動画を投稿している一般的なYouTuberとは異なり、VTuberの多くはアニメキャラクターのような容姿を持っています。しかも彼ら彼女らは、必ずしも人間であるとは限りません。

天使、悪魔、魔王、勇者、忍者、妖怪、獣人、ゴリラ、魚類、人形──などなど、そのパーソナリティは千差万別。人外や無機物が当たり前のように人格を持って活動しており、「男性の声で話す女の子」や「機械音声で話す動物」も珍しくなく、作曲をするねこもいます。ねこなのに(※2)</small style>。

今回はそんな「バーチャルYouTuber」について、その特徴と魅力をざっくばらんにご紹介。この約1年間、すでに大手ネットメディアや雑誌で解説されてきた内容ではありますが、「実はあまり詳しくない」という人の参考になればと思い、改めてまとめてみました。

「バーチャルYouTuber」とは

そもそも、「バーチャルYouTuber」とはどのような存在なのでしょうか。定義はいまだはっきりと定まっていない印象はありますが、まずはいくつかの資料から引用してみます。

「外見がコンピューターグラフィックス(CG)やイラストのキャラクター」であるユーチューバーを指す用語
(バーチャルYouTuber – Wikipediaより)

2Dや3DのCGキャラクターと音声を組み合わせた動画をYouTubeに投稿する配信者の総称
(『Febri Vol.50』P.16より)

モーションキャプチャーの技術を利用して2D・3Dのキャラクターを動かし、動画や生放送などをインターネットで配信している
(『ユリイカ 2018年7月号』P.45より)

かんたんにまとめれば、バーチャルYouTuberとは「CGキャラクターとして配信をおこなうYouTuber」のことである、と言えるでしょうか。 “2D” にも言及されているように、イラストで描かれたキャラクターも含めて「VTuber」と呼べるわけですね。

ただしこの言葉が生まれた当初は、「キャラクターの姿をしたYouTuber」全体を指す総称ではありませんでした。上で引用した文献のいずれを見ても、「バーチャルYouTuber」はもともと「キズナアイさん個人を指す言葉だった」と説明されています。

2016年12月に活動を始めたキズナアイ(@aichan_nel)さんが最初に「バーチャルYouTuber」を名乗り、それがやがて総称として定着。実際、この表現が定着するまでは、2017年に登場した電脳少女シロ(@siroyoutuber)さんは「電脳少女YouTuber」を、藤崎由愛(@yua_ch)さんは「次世代YouTuber」を、それぞれが名乗っています。

それが2017年後半になると数多くの配信者が登場し、ファンも増え、ネット上で広く認知されるようになります。結果、「キャラクターの姿をしたYouTuber」を指す言葉としてわかりやすい、「バーチャルYouTuber」という総称が用いられるようになった──という流れですね。

その元祖であるキズナアイさん自身は、インタビュー記事で次のように話しています。

みんなの言っている「VTuber」は自分で名乗らないようにしてて、常に「バーチャルYouTuber」と言ってます。VTuberというのは誰かが作った言葉で、わたしが「バーチャルYouTuberキズナアイです」と言うときの「バーチャルYouTuber」はあくまでもずっと名乗ってきたわたしの二つ名的な感じなんです。
(『ユリイカ 2018年7月号』P.29より)

全体を指す総称でありながら、キズナアイさん個人を指し示す唯一無二の名称でもある。これは、VTuberが好きなファンのあいだではそれとなく共有されている認識であり、「バーチャルYouTuber」という存在を考える際には欠かせない視点であるようにも感じます。

他方で、最近はYouTube以外のプラットフォームを活動の拠点とする配信者も増えつつある様子。その場合は「YouTube」という単語が含まれていることに違和感もあるため、今後は別の総称が定着するようなことになるのかもしれません。ちなみに、海外では「Virtual Vlogger」と呼ばれているそうです(※3)</small style>。

5人そろって四天王!

キズナアイさんが生まれた2016年12月から1年が経った頃。

2017年の後半になると個性豊かなバーチャルYouTuberが次々に登場し、年末にはVTuber界全体が大盛り上がり。現在の流行に至る基礎が築かれることとなります(※4)</small style>。

この時期に国内のVTuber文化が花開いたのにはいくつかの要因があると言われていますが、2017年末から2018年初頭にかけて、特に注目を集めていたVTuberの存在は欠かせません。1年にわたって地道な活動を続けていたキズナアイさんに始まり、彼女に続くように登場して注目を浴びるようになった、5人のVTuber。

それが、俗に言う「バーチャルYouTuber四天王」です。

ただし、これはあくまで「ネット上で自然とそう呼ばれるようになった」という流れで生まれた俗称であり、厳密な定義はありません。何らかのユニットを指すものではなく、また本人たちがそう名乗っているわけでもありませんので、念のため。

強いて言うなら、ニコニコ大百科にある「VTuberブーム爆発の原動力となった初期の功労者」という表現がしっくりきますね(※5)</small style>。もちろん他にも人気のVTuberはいますが、特に個性的で話題になりやすかった人を指して「5人揃って四天王」という括りになったようです。

そんな “5人” について、簡単に振り返ってみましょう。

キズナアイ

世界初のバーチャルYouTuberにして、インテリジェントなスーパーAI。真っ白な空間で生まれて、YouTuberとしての活動を開始。ファンからは「アイちゃん」と呼ばれて慕われています。

動画の内容は非常に多岐にわたり、ゲーム実況・踊ってみた・診断・検証・雑談などなんでもござれ。バーチャルな存在でありながら生身の「YouTuber」のように体を張ったネタも少なくなく、どれもこれも笑って楽しめる動画ばかり。つい先日にはHIKAKINさんとのコラボも実現しました。

最近はYouTubeの外での活動も増えており、バラエティ番組やCMへの出演のほか、自身の冠番組『の番組』も放映中。7月にはオリジナル曲『Hello,Morning』をリリースし、10月下旬からは9週連続で新曲を発表。 されるなど、多方面で活躍中のトップランナーです。

電脳少女シロ

アイドル志望の女の子。2017年6月に生まれ、8月には自己紹介動画を投稿。歌ってみた・踊ってみたのほか、YouTuberならではの多種多彩な動画を毎日投稿しています。ファンのことを「シロ組さん」と呼び、非常用の食材──もとい、非常に大切な存在として捉えているそう。

かわいらしい容姿とは裏腹に、ゲームの腕前は四天王の中でも随一。FPSでは冷静な立ち回りを見せつつ、敵を発見するやいなや歓喜の雄叫びを上げながらバッタバッタとなぎ倒していく戦闘狂。テンションが上がるとイルカのような鳴き声がしばしば漏れることから、視聴者からは「シロイルカ」と呼ばれるように。僕もシロちゃんにKILLされたい。

当初は動画の再生回数が伸び悩んでいたものの、2017年12月にVTuberブームが巻き起こったことで、動画を投稿し続けていた彼女も注目を浴びるように。特にゲーム実況動画はニコニコ動画で人気を博し、数多くのシロ組さんが誕生するきっかけになりました。シロちゃんの動画は為になるなぁ。

ミライアカリ

2017年10月に「ミライアカリプロジェクト」として活動を開始。一番最初の自己紹介動画では「記憶喪失」であることが明言されていましたが、最近は忘れられているような……?

性格は天真爛漫、元気いっぱいのお姉さん──かと思いきや、下ネタもどんとこいのコミュニケーション強者。むしろ自ら進んで下ネタに突っ込んでいくため、コラボしたVTuberが戸惑うことも。無茶振りにも全力でぶつかっていく生き様は、根っからの芸人──もとい、駆け出しのアイドルのようにも見えて眩しい。

自撮り風のアングルの動画が特徴的で、コロコロ変わる表情がかわいらしい。拙い英語でVRChatに突撃する動画をはじめ、ただおもしろいだけでなく視聴者もやってみたくなるような動画が魅力です。歌唱力も高く、曲によってさまざまな声色を聴ける歌ってみた動画は必聴。

輝夜月

活動開始は2017年12月と比較的遅めながら、キズナアイさんに次ぐチャンネル登録者数を誇る人気VTuber。美人な見た目とは裏腹に、複数の声色から繰り出されるぶっ飛びトークはVTuber界随一。あまりにも終始ハイテンションで振り切れているため、「見るストロングゼロ」「首絞めハム太郎」などのあだ名が付きました。

動画の投稿頻度はそこそこながら、その一つひとつが爆笑必至。投稿からわずか24時間で20万再生を超えるほどの人気で、初期の動画には300万再生を達成しているものもあります。5分前後でさくっと見れるので、まずはぜひそのハイテンションっぷりを体感していただきたいところ。

たびたびSHOWROOMで生放送をしているほか、2018年5月にはインドネシアのイベントに出演し、さらに8月にはVR空間を舞台にしたワンマンライブも成功させるなど、YouTube外でも活躍中。VRならではの演出も見られたライブは、本当にすばらしかったです(※6)</small style>。

バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん(ねこます)

四天王の紅一点。「~のじゃ」と話す狐耳のかわいらしい幼女──なのですが、声は素の男性のもの。2017年12月に紹介記事がバズったことで話題になり、一躍時の人となりました(※7)</small style>。通称は「のじゃおじ」「のじゃロリ」など。普段は「ねこます」として活動されています。

そのかわいらしい容姿と、ゆるい雰囲気のおじさんボイスで語られる「世知辛い」話に共感を覚え、ファンになってしまった人も多い模様。かく言う僕もその1人です。初期の動画ではコンビニでアルバイトをしていることを話すなど、「中の人」の存在を自ら認めているVTuberでもあります(※8)</small style>。

ただし、現在はVTuberとしての活動を縮小しており、裏方としてVRコンテンツに携わるような立ち位置にいらっしゃるようです。過去の動画については現在もYouTubeチャンネルで見ることができますので、ねこますさんの軌跡を追いかけたい人は順番に確認してみてください。

十人十色の個性が光る!VTuberが生み出す魅力的なコンテンツ

以上のような「四天王」だけを見ても、各人各様の背景を持ち、多種多彩な活動をしていることがわかるかと思います。トップを走る人気VTuberについて言えば、特定のジャンルやプラットフォームにとどまらない、マルチに活動するパフォーマーのようなイメージもありますね。

雑談配信を中心に視聴者と交流している人がいれば、絵を描いたり曲を発表したりするクリエイター色の強い人もいる。アイドルのように歌って踊るパフォーマンスでファンを魅了する人がいれば、歌や踊りが純粋に好きで動画を投稿している人もいる。そして、個人の趣味で楽しんでいる人がいる一方で、ビジネスとして取り組んでいる企業もいる。

2018年現在、ネット上にはどのようなVTuberがいて、どのような動画を投稿しているのか。数千人規模の配信者がいるVTuber文化のすべてを紹介することは叶いませんが、ここでは何人かのVTuberと動画を紹介させていただきつつ、少しでもその魅力をお伝えできればと思います。

ライブ配信

VTuberと言えば、配信者と視聴者との距離が近く、コメントで直にコミュニケーションできるライブ配信が大きな魅力。現在では毎晩のように生放送をしているVTuberも珍しくありませんが、2017年末の時点ではまだまだ希少でした。

きっかけとなったのは、クリスマスにおこなわれたミライアカリさんのライブ配信(※9)</small style>。これがTwitterでトレンド入りするほどに盛り上がり、以降は生放送をするVTuberも徐々に増えていった印象があります。そして「にじさんじ」の登場によって、VTuberによるライブ配信が爆発的に広がります。

にじさんじは、同名アプリを用いて動画配信を行うバーチャルライバーグループ。本来はメンバーとその関係性について個別に言及するべきなのでしょうが……いかんせん数が多く、各々のキャラも濃く、さらにはライバー同士で頻繁にコラボもしているため、いくら文字数があっても足りないんですよね……。

メンバーの中でも特にチャンネル登録者数が多く、イベントへの参加や記事の寄稿など幅広く活動されているのが、にじさんじメンバー1期生の1人、月ノ美兎(@mitotsukino)さん。

当初の設定としては「ツンデレだが根は真面目な学級委員」という紹介文が公式サイトにあり、清楚な委員長キャラとして活動する──のかと思いきや、蓋を開けてみるとびっくり。コアなサブカルチャーネタを遠慮なくぶっこんでくる配信を見た視聴者は仰天し、その自由奔放っぷりとあまりの濃厚さにハマる人が続出しました。

他のにじさんじメンバーもみんな個性的で、しかも結構な頻度でコラボ配信を行うため、ファンはリアルタイムで視聴するべく積極的に活動を追いかけるように。放送中に生まれた数々の名言はVTuber界全体にも浸透し、今なお圧倒的な存在感を誇っています。これがバーチャルYouTuberなんだよなぁ……(※10)</small style>。

そんなにじさんじがVTuber界にもたらしたインパクトは大きく、2018年の春から夏にかけては、企業が運営するVTuberのグループが次々に登場しました。

ときのそら(@tokino_sora)さんとロボ子さん(@robocosan)が所属する「ホロライブ」でオーディションが開催されたほか、電脳少女シロさんとばあちゃる(@bayoutuber)さんが所属する「.LIVE」でも「アイドル部」が活動を開始。にじさんじ同様に2Dモデルを用いたライブ配信を積極的に行い、VTuber界を大いに盛り上げています(※11)</small style>。

他方では、バーチャルSHOWROOMERとして活動する、東雲めぐ(@megu_shinonome)さんのような配信者もいます。

めぐさんは、毎朝の生放送が習慣。放送では視聴者のお便りやイラストを紹介するなど、ファンとの交流を中心にした配信をしています。これで早起きの習慣が身についた人、そして通勤・通学前に動画を見て元気をもらっている、めぐるーまー(※12)</small style>さんも多いのでは……?

ゲーム実況

今も昔も、ゲーム実況は人気コンテンツ。

ゲーム配信に特化したサービス『OPENREC』ではVTuberカテゴリが追加されたほか、VTuberをゲストに呼んだゲーム番組も登場しています。公式・非公式を問わずゲーム大会もしばしば開催されており、VTuber同士がコラボするきっかけともなっているようです。

ゲームプレイに定評のあるVTuberと言えば、猫宮ひなた(@nekomiya_hinata)さん。

ゆるーい感じの猫耳ボクっ娘(?)かと思いきや、FPS・TPSゲームの腕はトップゲーマークラス。バッタバッタと敵をなぎ倒す──もとい撃ち抜いていくプレイは、見ていて爽快です。最近はFPS以外のゲームをプレイすることも増え、動画の幅を広げつつあるよう様子。ドヤ顔かわいい。

 

「ゲーム」の単語を冠したVTuberとしては、4人組の「ゲーム部プロジェクト」も人気ですね。

都内の高校のゲーム部に所属する、夢咲楓(@kaede_gamebu)さん、風見涼(@Ryo_gamebu)さん、桜樹みりあ(@Miria_gamebu)さん、道明寺晴翔(@Haruto_gamebu)さんの4人組VTuber。各々が得意ゲームの実況動画を投稿しているほか、メンバーが出演するショートドラマも公開しています。コントのようでありながら、部員同士の関係性が垣間見えるのもいいんですよね……。

>

VTuberのコラボ実況は企業・個人の垣根を超えて行われていますが、たまに開催される大規模大会も必見です。たとえば7~8月にかけて注目を集めた「キズナアイ杯」では88名ものVTuberが参加し、『マリオカート8 デラックス』を舞台に数々のドラマが生まれました(※13)</small style>。

最近では10月に、渋谷ハル(@ShibuyaHAL)さん主催の「VTuber最協決定戦」が開催。実況者に人気のゲーム『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』の大会として、4人1組のチーム戦が繰り広げられました。こちらも80名ものVTuberが参加し、大盛況のまま閉幕。

複数のVTuberの視点だけでなく、主催者による全体実況もハイクオリティで楽しめます。メイン会場の実況はアーカイブ動画が公開されていますので、ゲームが好きな方はぜひ覗いてみてください。ちなみに大会当日、個人的に推していたチームは「ホロライブ」と「持たざる者」です。

歌ってみた

「VTuberは詳しくないけど、歌ってみた動画は見たことがある!」という人も中にはいるのではないでしょうか。特に3DモデルのVTuberは、歌だけでなく体の動きとダンスで動画を彩ることが可能。VTuberと歌唱動画は親和性が高く、魅力的なMVと合わせて楽しむことができます。

歌唱力に定評のあるVTuberは数多くいますが、まずは何と言っても、富士葵(@fuji_aoi_0618)さん。VTuberとしては初となる、音楽メジャーデビューも果たしています(※14)</small style>。

2017年12月の活動開始当初は「素朴な女子高生YouTuber」という印象でしたが、同月に投稿されたRADWIMPS「なんでもないや」のカバー動画がヒット。映画『君の名は。』の挿入歌であるこの曲を「映画の聖地である公園で弾き語りする」という、美しくエモい動画となっています。

歌を中心に活動しているVTuberとしては、YuNi(@yuni_vsinger)さんも外せません。トークは基本的に生放送のみで、歌ってみた動画を精力的に投稿している「バーチャルシンガー」です。

一見するとアニソンとボカロ曲が多いですが、J-POPや昭和の歌謡曲も歌いこなす実力派。「シャルル」「名前のない怪物」「Lemon」あたりは鉄板。「ロビンソン」「ultra soul」などのカバーもおすすめです。──もちろん、オリジナル曲「透明声彩」は言うまでもなく。

音楽系VTuberとして、「KMNZ」も個人的には推したいところ。リタ(@kmnzlita)さんとリズ(@kmnzliz)さんの2人から成るユニットで、TOKYOMXのバラエティ番組『VIRTUAL BUZZ TALK!』のMCも務めています。2人はそれぞれ自身のYouTubeチャンネルを持っており、歌ってみた動画と生放送を中心に活動中。

これまでのカバー曲を見ると、リタさんは「歌舞伎町の女王」「サマージャム’95」「強い気持ち」などを、リズさんは「ロキ」「そばかす」「ふわふわ時間」などを選曲しており、それぞれに異なるカラーが出ているのも魅力です。オリジナル曲「VR」は必聴。ワニのヤカ(@c_yaca)さんとのコラボ曲「IFIF」も大好き。

上で挙げた以外にも、かしこまり(@kashikomari_ch)さん、道明寺ここあ(@kokoa_domyoji)さん、樋口楓(@higuchikaede)さん、おめがシスターズのおめがレイ(@omesis_ray)さん&おめがリオ(@omesis_rio)さん、田中ヒメ(@himetanaka_hh)さん&鈴木ヒナ(@HinaSuzuki_HH)さん、バーチャルゴリラ(@gorilla_virtual)さん、バーチャル執事Cecilia(@cecilia4696)さんなどもおすすめしたい──のですが、これ以上は長くなってしまうので泣く泣く割愛します。

アナウンサー・クリエイター・レビュアーなど

「歌ってみた」や「ゲーム実況」はいずれも一大ジャンルではありますが、何もVTuber全員がそのような活動を中心にしているわけではありません。

鳩羽つぐ(@hatobatsugu)さんのように独特な世界観を持ったVTuberもいますし、作品発表の手段として活用しているクリエイターさんもいます。最近では、「バーチャル」とはあまり関係のなさそうなメーカーや自治体が採用するケースも散見されるようになりました。

たとえば、ウェザーロイドAiri(@typea_airi)さん。「超高性能お天気お姉さん系アンドロイド」である彼女は、ウェザーニュースの番組で天気予報を担当しています。SNSなどで見たことがある人も多いのではないでしょうか。

しかも彼女は、デビュー7年の新人VTuber。──そう、「バーチャルYouTuber」という概念が生まれる前から長年にわたって3Dの体で活動をしていた彼女は、ある意味ではVTuberの始祖とも言える存在なのです。現在は晴れてVTuberとしてのチャンネルも獲得し、他のVTuberとも積極的にコラボしています。

同じテレビ的な文脈を持つキャラクターとしては、茨城県公式VTuber・茨ひより(@ibakira_vtuber)さんの存在も挙げられます。彼女の肩書きは、「茨城県 バーチャル広報課 Vtuberチームアナウンサー」。

県が運営する動画サイト『いばきらTV』のアナウンサーとして、茨城県の魅力を伝える動画を投稿しています。茨城の関連情報を届けつつ、ゲーム実況にも挑戦するなど、中にはVTuberらしい動画も。都道府県魅力度ランキング最下位でもがんばれ、ひよりん。負けるな、ひよりん。元茨城県民として応援しています。

>

また、YouTuberと言えばレビュー動画もおなじみ。とくれば当然、レビュー・紹介系の動画を投稿しているVTuberもいるのでは……?

個人的にまず思い浮かんだのが、食文化系VTuber・大谷さん(@ota_25)。実写による調理動画のほか、工場見学をしたりジャガイモ愛を語ったりしている、「食」にフォーカスした動画を投稿しています。イラストと頭身高めの3Dモデル(?)を用いた、教育テレビのようなかわいらしい動画が素敵。

クリエイター系VTuberとしては、イラストレーターさんやマンガ家さんが自らバーチャルの体を描き、続々と「受肉」しています。

「りむとまき」のお二人(@rimukoro)をはじめ、魔王マグロナ(@ukyo_rst)さん、竹花ノート(@nano_phan)さん、兎毬まり(@tomari_mari)さん、オニャンコポン(@tamanoumika)さん、犬山たまき(@norioo_)さん──と名前を挙げればキリがないほどに(※15)</small style>。

イラスト系VTuberさんの多くは作業配信をしていますが、講座動画を投稿している、ぽてち(@poteti_oekaki)さんのチャンネルは必見。2Dイラストのように見える色彩豊かな3Dモデルが魅力的なバーチャルアーティスト・鴨見カモミ(@camomi_camomi)さんも人気ですね。

他方で、先ほどは「歌ってみた」を切り口に取り上げましたが、音楽と言えば当然「歌う」だけでなく「作る」人もいるわけで──。

作曲系VTuberとしては、ミディ(@mid_midy)さん、レンチ(@wrench_t)さん、じーえふ(@grapefruit_uhr)さん、ひまり(@VTM_himari)さんなどが挙げられます。

他のVTuberへ楽曲を提供しているミディさん、イメージソングを数多く手掛けるレンチさん、動画用のジングル・BGMや歌ってみた用のカラオケを作るじーえふさん、楽曲をリミックスして自らも歌うひまりさん──というように、音楽系VTuberも三者三様。それぞれに取り扱う楽曲のジャンルも異なるので、ぜひ一度聴いてみてください。

ここまで長々とバーチャルYouTuberについてご紹介してきましたが、それでもなお、その魅力と特徴の半分も伝えられていない印象があります。一口に「VTuber」と言っても、本当にさまざまな切り口から捉えることができるんですよね。

VTuber同士のコラボレーションによって築かれる関係性にも魅力がありますし、時にはファンも交えたSNS上でのコミュニケーションも楽しい。他方では、仮想空間や現実のイベントで彼ら彼女らを魅力的に演出する技術も興味深いですし、プロモーションや広報など企業目線での活用方法に関心を持っている人もいることでしょう。

とはいえ、そのような個々の問題を考えるためには、「そもそもVTuberとはどのような存在で、どういった人たちが活動しているのか」を知らなければなりません。本記事は、そのような人の参考になればと思い書きはじめた内容だったのですが……。VTuberの魅力と特徴が、少しでも伝わっておりましたら幸いです。

昨年末の盛り上がりから1年が経ち、その間にVTuberになれるアプリや配信プラットフォームが続々と登場し、配信者自体の数も増え、ひとまずは流行が落ち着いたような印象もある今日この頃。ですが、それでもまだ、たったの1年です。わずか1年でこれだけの変化があり、舞台が整えられたとなれば、次の1年はいったいどうなってしまうのか──。

いやー、最高にワクワクしてきますね!

それに「バーチャル」とは言いつつも、消費者側のVR環境はいまだ普及途上にあります。一般家庭にも広くVR用HMDが行き渡り、好きなVTuberと気軽に交流できるようになったら──。もしかしたら、2018年は前触れに過ぎなかったと感じるほどの大流行が起きるかもしれません(※16)</small style>。

何はともあれ、バーチャルYouTuberをよく知らないという方は、これを機にぜひ動画を見てみてください。また、彼ら彼女らのことをより詳しく知りたいという方には、本記事でも引用させていただきました『Febri Vol.50』『ユリイカ 2018年7月号』などの本もおすすめですよ!

※勝手ながら名前を挙げさせていただいたVTuberさんにつきましては、全体的に雑な紹介になってしまい、申し訳ございません……。客観的な情報を中心に取り上げたつもりですが一部主観も入っておりますので、もしも事実と異なる箇所がありましたら、お手数ですがご連絡ください。</small style>

◆ 脚注
※1:https://www.userlocal.jp/news/20180912v0/
※2:バーチャルねこ(@neko_vtuber)さんのこと。
※3:http://www.bbc.com/capital/story/20181002-the-virtual-vloggers-taking-over-youtube
※4:2017年12月に爆発的に盛り上がった理由については、こちらの記事(https://realsound.jp/tech/2018/07/post-219554.html)でわかりやすくまとめられています。
※5</small style>:https://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AByoutuber%E5%9B%9B%E5%A4%A9%E7%8E%8B
※6:https://blog.gururimichi.com/entry/2018/09/01/122547
※7:http://nyalra.hatenablog.com/entry/2017/12/05/155651
※8:アルバイトについては、昨年末の時点で辞めることを明言されていました(参考:https://www.youtube.com/watch?v=Z0vu1q7BylM)。
※9:https://www.youtube.com/watch?v=xGF_9d4pg60
※10:https://dic.nicovideo.jp/a/%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%8C%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AByoutuber%E3%81%AA%E3%82%93%E3%81%A0%E3%82%88%E3%81%AA%E3%81%81…
※11:2018年末現在、2Dモデルと3Dモデルを併用している人もいます。
※12:東雲めぐちゃんのファンの名称。
※13:https://www.youtube.com/watch?v=hLyXRXZl7gA
※14:CDの発売は11月となっており、8月には先んじてミソシタ(@misositaworks)さんがCDデビューしています。
※15:ここでは、どなたもVTuberとしての名前を参照しています。
※16:実際のところ、VRがスマホのように普及していくかどうかは未知数ではありますが。それに、そうなる頃には「VTuber」という総称はなくなっているような気もします。</small style>

◆ 参考文献・サイト
『Febri Vol.50』(一迅社)
『ユリイカ 2018年7月号』(青土社)
PANORA https://panora.tokyo/
Mogura VR https://www.moguravr.com/
ニコニコ大百科 https://dic.nicovideo.jp/

けいろー

フリーライター。ネットカルチ ャーを愛するゆとり世代。趣味で始めたブログ『ぐるりみち。』を経由して仕事をもらえるようになり、ノリと勢いで独立。本・グルメ・街歩き・旅行・ネット・アニメなどに関心あり。執筆実績として『HATSUNE MIKU EXPO 2016 Japan Tour』公式パンフレットなど。バーチャルな存在になりたい。

関連記事